1. HOME
  2. ブログ
  3. トピックス
  4. 店舗デザインとAIの可能性 〜人の感性とテクノロジーがつくる新しい空間づくり〜

お役立ち情報

Know-how

トピックス

店舗デザインとAIの可能性 〜人の感性とテクノロジーがつくる新しい空間づくり〜

デザインの世界にやってきたAIの波

最近、「AI」という言葉を耳にしない日はないですよね。
AIは文章を書いたり、画像を作ったり、音楽を作ったりと、あらゆる分野で活躍の場を広げています。

AIイメージ

そして今、そのAIの力が「店舗デザイン」の世界にも静かに、しかし確実に浸透してきています。

店舗デザインとは、お客様が入った瞬間に感じる空気、使いやすさ、ブランドの世界観を形にする仕事です。
そこにAIが加わることで、これまで時間やコストがかかっていた工程が短縮され、より多くの「創造的な時間」を人間が使えるようになってきているのです。

1.コンセプトを“見える化”するスピードが格段に上がる

お店づくりで最初に大切なのは「どんな空間にしたいか」というコンセプトづくりです。
カフェなら「落ち着く雰囲気」なのか「SNS映えする空間」なのか、
美容室なら「高級感」なのか「親しみやすさ」なのか。

この段階でお客様とイメージを共有するのはとても大変です。
言葉では伝わっていても、頭の中のイメージは人それぞれ違います。

しかしAI画像生成ツールを使えば、
「ナチュラル×カフェ×木の温もり」「白を基調にしたミニマルな美容室」といったキーワードを入力するだけで、
数十秒で複数のビジュアル案を提示することができます。

カフェCG

これにより、
「こんな雰囲気が好き」「もう少し照明を明るくしたい」など、お客様とのイメージ共有がスムーズになります。

AIは、イメージを「言葉」から「見える形」に変えてくれる心強い相棒になりつつあります。

2.レイアウト提案も“勘”だけに頼らない時代に

お店のレイアウトを決めるとき、動線や機能性は非常に重要です。
特に飲食店や美容室では、「人がどんな動きをするか」が売上や働きやすさにも直結します。

最近は、AIを搭載したCADソフトやBIMツールが登場し、
「最短動線」や「お客様とスタッフのスムーズな動き」をシミュレーションしてくれるようになりました。

打ち合わせの様子

例えば、厨房からホールまでの距離を短くしたい場合、AIが数秒で複数のレイアウト案を出してくれるのです。
もちろん、最終的な判断は人間が行いますが、“最初の叩き台”をAIがつくることで、
打ち合わせのスピードも格段に上がります。

AIは、私たちデザイナーの“勘”や“経験”を補助するツールとして、確実に進化しています。

3.デザインの“伝え方”もAIがサポートする時代へ

デザインは「形」にするだけではありません。
お客様やオーナーに「どう伝えるか」も大切です。

AIが得意なのは、文章の要約や言い換えです。
たとえば、プレゼン資料や提案書で「このデザインの狙い」をわかりやすく説明する際、
AIは難しい表現を柔らかく直してくれます。

「木目を活かした落ち着いた空間」→「自然の温もりを感じながら、心が休まる空間」
このように、“伝わる言葉”に変えてくれるのです。

コンセプト文章を考える女性

また、SNS投稿やホームページの紹介文などもAIを使えば、スピーディに作成できます。
これまで時間がかかっていた“表現”の部分をサポートしてくれることで、
デザイナーはより“創造的な部分”に集中できるようになります。

4.リアルな完成イメージを瞬時に作るAIパースの進化

AIの画像生成は、いまや「ほぼ現実」と見間違うほどのクオリティになっています。
簡単なスケッチや既存の写真をもとに、完成後の店舗パースを生成することができます。

お客様に「こんな感じになります」と見せるとき、以前は数日かけてCGパースを作っていましたが、
AIなら数分でラフイメージを出すことが可能です。

もちろん、最終的な仕上げやライティング、質感表現は人間の手が必要ですが、
“たたき台”としては十分すぎるクオリティです。

これにより、打ち合わせのテンポが大きく変わります。
お客様の頭の中にある理想をすぐに形にできることで、デザインの方向性をすぐに修正・共有できるのです。

5.AIが導く「デザインの答え」ではなく「気づき」

AIが提案してくれるレイアウトやデザインは、あくまで「選択肢のひとつ」です。
大切なのは、それをどう読み取り、どう活かすか。

たとえば、AIが提案したレイアウトを見て、
「ここを少し広げた方が動線が良くなるかも」
「この照明計画、意外といい雰囲気になるかもしれない」
といった“気づき”が生まれます。

AIが答えを出すのではなく、デザイナーの発想を広げる“きっかけ”になる。
これこそが、AI時代の店舗デザインにおける最大の価値です。

6.データで“感覚”を裏付ける新しい提案スタイル

店舗デザインは「感性の仕事」と言われますが、
これからはデータの裏付けを持った提案が求められる時代になっていきます。

たとえば、過去に手がけた店舗データをAIで分析すれば、
「この立地ではこの配色が好まれる」
「この坪数では通路幅をこれくらい確保した方が滞在時間が長い」
といった傾向が見えてきます。

AIによる分析

デザインの“正解”はひとつではありませんが、
AIが過去データを分析して“傾向”を示してくれることで、
より説得力のある提案が可能になります。

お客様にとっても、「デザインの根拠がある安心感」につながるのです。

7.それでも最後は「人の感性」が決める

AIは便利ですが、まだ「空気を読む」ことはできません。
人の気配、温度、光の柔らかさ、そこに流れる時間——
そういった“人間の感覚”を完全に理解することは難しいです。

だからこそ、AIの時代になっても、最後に空間を仕上げるのは人間の感性です。
AIが効率を上げ、情報を整理してくれることで、
私たちデザイナーは本来の仕事——「心地よい空間をつくること」に集中できるようになります。

つまり、AIは人の仕事を奪うのではなく、
人の創造力を解放するツールになるのです。

人の感性、気づきのイメージ

8.これからの店舗デザイン会社のあり方

AIの進化によって、店舗デザイン会社の役割も少しずつ変わっていくでしょう。

これから求められるのは、
「AIを上手に使いこなしながら、お客様の想いを形にする力」。

たとえば、AIが作った10枚のイメージの中から、
お客様の想いに最も近い1枚を選び、それを実際の素材や照明で現実化する。

AIが“可能性”を見せ、人が“現実”にする。
この協働が、新しい店舗デザインのスタンダードになっていくと思います。

AIとともに、より「人らしい」空間づくりを

AIが登場して、私たちの働き方や考え方は確かに変わりました。
でもそれは、「人の感性がいらなくなる」ということではありません。

むしろ、AIが苦手な「人の気持ちを想像する力」こそ、これからますます大切になります。

AIが作るのは“情報”。 人が作るのは“体験”

この2つを掛け合わせることで、
もっと温かく、もっと魅力的な店舗デザインが生まれていくと、私たちは信じています。

✨ まとめると…

AIは店舗デザインのスピードと精度を上げる

デザイナーはより「人らしい発想」に集中できる

これからのデザインは「AI × 感性」の共創時代へ

関連記事