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荒井 マモル

未来の店舗デザイナー育成〜学生インターンシップ受入れでやっていること〜

店舗デザイナーの育成インターンシップを価値あるものに!

店舗デザイナーの育成インターンシップを価値あるものに!

弊社では毎年、大学側からのご依頼でインターンシップ生を受け入れています。

大学4年生が多いのですが、学校で建築やインテリアを専攻している方が多く、4年生となると主だっては「卒業設計」という課題が大変なようです。

インターンシップにくる学生さんに、現在進めている、又は、過去に作った作品などを見せてもらうのですが、皆さん一様にクオリティが高く、感心する事が多いです。

私自身、結構な刺激にもなり、毎回楽しみながら見せてもらっています。

 

弊社のインターンシップは、来られる方にとって「価値あるものにしよう!」と決めて、基本2週間のコースでみっちりスケジュールを組んで取り組んでもらうようにしています。

こちらからお伝えしたい事も数多くあり、3〜4日程度では思うように伝えられないのが理由です。

夏休み期間中に、普段学校では出来ないような体験をしていただきます。

※但し、学校スケジュールの都合上、“5日間”という短期コースの場合もあります。
5日間でより多くの体験を持ち帰ってもらえるようスケジュールを作成しています。

 

 

基礎画力を身につける「デッサン」は、デザインの“基本のキ”

基本2週間というスケジュールのなかで、毎日必ずやってもらっている課題があります。

それは「デッサン」です。

デッサンとは、一般的に鉛筆や木炭を使用し、モチーフの形や光をモノトーンで立体的に表現することを言います。

日本語では「素描(そびょう)」です。

専攻する学部、学科にもよりますが、デッサンの授業を受けたことがない学生さんもいらっしゃいます。

しかし、弊社では、私たちの様なデザイン業界に進むのであれば、デッサンはデザインの“基本のキ”で、デザインの基礎となる重要な技術である、と考えています。

インターン期間中は、必ず、毎日、時間を区切ってデッサンを描いていただいています。

しかも、初日の「最初の作業」でデッサンを描いてもらう事が通常です。

 

弊社にインターンで来られた学生さんが、まだ慣れない状態で描いたデッサンをご紹介したいと思います。

まず一人目の作品がこちら

店舗デザインの基礎 インターンデッサン ペットボトル

インターン初日に45分で描きました。

初めて見る人がこのデッサンを見た瞬間、「何を描いているか?」

は、すぐに読み取れると思います。

初めてにしては、上手いと思います。

 

次にインターンに来られた方の作品がこちらです。

こちらもインターン初日ですが、時間は30分間で描いてもらいました。

<第1日目>

店舗デザインの基礎 インターンデッサン カップ

物の形状は捉えていますが、鉛筆の線に力強さを感じる事ができないので、失礼ながらダメ出しをさせてもらいました。

線の入れ方や陰影の付け方、表現方法の細かなタッチをアドバイスをして実践して見せます。

インターン生は、アドバイスを真摯に受け止め、それを実践に移してくれます。

 

そして、<第2日目>の作品がこちらです。

2日目以降は、制限時間15分になります。

終わらなくても15分で終えてもらうことにしています。

店舗デザインの基礎 インターンデッサン アダプタ

 

いかがでしょうか?

初日に比べ、急成長を感じてしまいます。

私が嬉しくなる瞬間です。

アドバイスを素直に聞き入れ、まるでスポンジの様に吸収し、アウトプットできる感性や若さは何モノにも変え難いものがありますね。

そして、翌日にはこんな感じになっていきます。

店舗デザインの基礎 インターンデッサン カッターナイフ

 

店舗デザインの基礎 インターンデッサン ホッチキス

 

店舗デザインの基礎 インターンデッサン えんぴつ

 

店舗デザインの基礎 インターンデッサン シュシュ

いかがでしょうか?

物体を捉える感性と同時に、ペンの入れ方が日に日に上手くなっているように感じます。

 

 

もう一名分ご紹介させて頂きます。

<第1日目>

店舗デザインの基礎 インターンデッサン USB

 

この物体が何かは理解できますが…という感じです。

同様にもっと良く表現するためのアドバイスをしていきます。

 

<第2日目>

店舗デザインの基礎 インターンデッサン 消しゴム

私的には1日目に比べてそんなに進歩が感じられない出来と思っています。

辛辣ですが、そのままの感想を言わせて頂き、そして更にアドバイスをさせてもらいました。

 

<3日目>

店舗デザインの基礎 インターンデッサン 腕時計

何か少し前回までと変わってきた印象を受けます。

時計本体の細かい描写と、ベルト、時計本体の陰影の描き方が進歩した印象を受けます。

頭の中で「色付きの画像」が思い浮かびます。

モノトーンの鉛筆で、モチーフとなる物体の「色」を表現する技術がデッサンには必要です。

 

<最終日>

店舗デザインの基礎 インターンデッサン チャープペンシル

初日から数えてわずか4日でここまで描けました。

インターン生の皆さんに共通するのですが、初日にデッサンのダメだしをされて、2日目にはかなりの上達ぶりに自身も驚く状況で、皆さん上手く描けるようになって、描く楽しさが倍増していきます。

だから、やる気になって、明日来るのが楽しみ…みたいな方が多いようです。

 

 

なぜ、3次元の空間デザインなのに2次元の手描きデッサンが重要か?

「対象物の本質を正確に捉えること」と「空間認知の向上」

インターンシップでは、他にも様々な事を経験していただきますが、弊社が重きを置いているのは、デッサンです。

デッサンは元来、基礎画力を身につけるためのに学ぶものですが、ここで重要なことは「対象物の本質を正確に捉える」ことと、物の位置関係を正確に把握する「空間認知の向上」ということです。

モチーフの本質、つまりモチーフの形状、色、状態、材質(素材)などを正確にイメージし描くことは、単純に絵の技術を向上させるだけでなく、観察力を養い、モチーフの詳細な構造、背景を正確に理解するという経験になります。

そして、「空間認知」とは、モチーフのある場所・向き・大きさ・形・速さ・位置関係などを、素早く正確に認知することです。

ある程度の空間認知能力が備わることで、2次元の紙上に「空間の奥行き」を表現して、3次元の世界を作り上げることが可能になりますし、平面上の図面や展開図などを立体的に認識することもできます。

2次元のデッサンで養う「本質を正確に捉える観察力」や「物の構造の理解」、「空間認知能力」は、3次元である建築や空間デザインなどの立体の表現をする際に必ず役立ちます。

 

多様な思考が生まれ、より多くのアイデアを創出する

今の時代は、パソコン上で図面を描いたりして、操作や要領を覚えれば、誰でも簡単に作図ができる時代です。

キーボードやマウス、ペンタブレットを使って作図する「脳の思考回路」と、鉛筆を握って手先を動かして描く「脳の思考回路」は違うもの、と私たちは考えています。

手描きで描く事によって多様な思考が生まれ、より多くのアイデアを創出できます。

それが店舗デザインに役立つということです。

 

これからの時代、生成AI などが作業してくれて、デザインの幅が広がる可能性があります。

しかし、AIは過去データの分析は得意かもしれませんが、未来の発想はまだ人間にしか出来ません。

「観察力」、「空間認知能力」を身に着け、「創造力」を養う事で、オリジナルのデザインが生まれ、ひいては世の中をアッと驚かす事ができるかもしれません。

そこまではなくとも、施主の要望に対して、方々の手段を考えられるという事は、必ず大きな武器となるはずです。

そこに「手描き」を学ぶ重要性を感じています。

 

手描きの重要性を若い世代に伝えていても、現実は普段の業務でCADを使って作業する事に慣れてしまい、いざという時に手描きを求められてもペンを動かす事が出来ない!

どこからどうやって描いたら良いのかわからない?という方が多いようです。

当然、CADもできる、手描きもできる、という、今時の言葉で言うところの、“二刀流”が望まれます。

上記でお伝えしたデッサンは、日々練習することで、もっともっと「伝わる技術」が備わっていきます。

なぜ、3次元の空間デザインなのに2次元の手描きデッサンが重要か?

 

 

「お店づくり」のコンセプト・デザインワーク

デッサンの他にも、弊社のインターンシップのメインとして、例えば「30代が多く来店する美容室の店舗デザイン」など、テーマを決めて「お店づくり」を考えてもらう作業も行なっています。

やはり、若い発想力で面白い事が見られたりしますので、逆にこちら側が刺激を受ける事も多いです。

過去には実践的で、弊社のデザインで即採用!くらいのデザインもありました。

そういった意味でも非常に楽しい時間です。

 

 

ヒューマンスケール

他にも、自分の身体をスケールして色々な物を計測する為に、自分の部位のサイズを知ることを学んでもらっています。

建築や空間デザインは、自分の身体の寸法を知るところから始まります。

「ヒューマンスケール」と言いますが、

ヒューマンスケールとは、物の持ちやすさ、道具の使いやすさ、住宅の住みやすさなど、その物自体の大きさや人と空間との関係を、人間の身体や体の一部分の大きさを尺度にして考えること。人間の感覚や動きに適合した、適切な空間の規模や物の大きさのこと。

店舗デザインや建築は、人が快適に過ごすための空間のデザインです。

その空間の中で、人が行動するのですから、まず人の寸法と動く範囲の広さを把握することが重要で、その空間の用途に合った動作空間のサイズが重要になります。

建築や店舗デザインでは、この基本的なヒューマンスケールを意識しておくことが大切です。

下の絵は、インターン生が自主的に描いたものです。

店舗デザインの基礎 インターンデッサン 身体スケール

 

 

空間デザインレポートも

また、街をリサーチしていたり、建築雑誌を見ていて、自分が「この作品好き、なんか良いな〜 」とか思うものをピックアップして、「何故好きと思ったのか?」の理由をレポートしてもらう作業もあります。

多くの方は「なんとなく可愛いから…」といった理由が多いものですが、それはそれで大事なことで、感性に訴えるデザインと言っても良いと思います。

ただし、そこには設計者としての意図が隠れている事も確かで、デザインにはそう思わせる「仕掛け」がふんだんに隠されています。

例えば、「このデザインはカラフルだけど、それぞれの部屋で白以外に1色のみしか使っていないから、その色が目立って特徴的な空間を演出できている」など。

このように、感性や表面上の見た目だけではなく、対象物の形状、構造、色、状態、材質など対象物自体の本質や、つくられた背景、制作者の意図、仕掛けなど、あらゆるところに視点を置き、見極める学習をしていただきます。

店舗デザインの基礎 インターン 店舗デザインレポート

 

 

はじめにお話した様に、弊社のインターンシップは、これから店舗デザイン・設計・内装施工など、空間デザイン業界を目指す方にとって、学び多き場となっています。

ご興味ある方はいつでも受け付けておりますので、お気軽にお問合せください。

<荒井 マモル>

 

インターンシップ募集要綱 >>

 

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