行列は「美味しさ」では作れない
3等立地でも人が並ぶカフェの共通点
店舗開業プロデューサーの荒井マモルです。
福岡の街を歩いていると、
「なぜ、ここで?」と思うような場所に行列ができている個人経営のカフェをよく見かけます。
駅から遠い
人通りが多いわけでもない
味は“普通に美味しい”
それでも、週末になると行列ができる。
この現象を見て、違和感を覚えたことはありませんか?
実はこれ、偶然でもブームでもありません。
今の30代開業世代にフィットした、明確な店舗づくりの考え方があるのです。
行列店=「料理がすごい店」ではない
まず大前提としてお伝えしたいのは、
今、行列ができている個人カフェの多くは、
料理やコーヒーの味で勝負していません。
もちろん不味いわけではありません。
ただし、
- 圧倒的に美味しい
- ここでしか飲めない
- 職人技がすごい
こうした要素が主役ではないケースがほとんどです。
では、何で人を集めているのか。
答えはシンプルで、「体験」を設計しているからです。
外観は「説明しない」方が人を集める

行列店の外観には、共通点があります。
- 看板が小さい、もしくは無い
- 色数が少ない
- 入口から中がよく見えない
つまり、情報が極端に少ないのです。
これは不親切なのではありません。
「何の店か分からない」という状態を、
あえて作っているのです。
人は説明されすぎると立ち止まりません。
逆に、
「なんだろう?」
「ちょっと気になる」
この感情が生まれた瞬間、足が止まります。
行列店の外観は、
集客装置ではなく“興味装置”なのです。
行列は広告。隠さない設計が鍵
もうひとつ重要なのが、行列の見え方です。
成功している店舗ほど、
行列を「問題」だと思っていません。
むしろ、
- 正面に人が並ぶ
- 通行人から見える
- 写真を撮られやすい
こうした条件が揃っています。
人は行列を見ると、
「ここは人気がある」
「行く価値がある」
と無意識に判断します。
つまり、行列そのものが最大の広告になっているのです。
3等立地でも行列ができる理由は、
行列が“目的地”を作っているからです。
店内は静かで、余白がある
店内に入ると、意外なほどシンプルです。
- 席数は少ない
- 自然光が入る
- 素材は2〜3種類
- 音が静か
ここで重要なのは、
「居心地がいい」よりも
「正解だったと思わせる空気」です。
入店して数秒で、
「ここに来てよかった」
そう感じさせることができれば、
料理の印象は後からついてきます。
回転率を上げない勇気
多くの開業者が不安に思うのが、席数です。
「もっと席を増やした方がいいのでは?」
「回転率が悪くなるのでは?」
行列店は、あえて逆を選びます。
- 席数を絞る
- 滞在時間を制限しない
- 提供を急がない
結果として、
自然に行列が生まれ、
「並んでも行きたい店」へと変わっていきます。
行列は失敗の結果ではなく、
設計の結果なのです。
SNS時代の“正しい一点集中”
店内すべてを作り込む必要はありません。

むしろ行列店は、
- 店全体は地味
- 写真映えポイントは1ヶ所だけ
この構成が非常に多いです。
窓際の光
余白のある壁
印象的な照明
この「1カット」が、
SNSで拡散され、
また次の行列を生みます。
これから開業する30代の方へ
これからの店舗づくりで重要なのは、
- 立地に期待しない
- 味だけで勝負しない
- 広告費をかけない
代わりに、
空間と体験を設計すること。
行列は努力の結果ではなく、
考え方の結果です。
もし、
「なぜこの席数なのか」
「なぜ看板を小さくするのか」
それを説明できるなら、
あなたの店はすでに一歩先にいます。
店舗づくりは、感覚ではなく構造です。
正しく設計すれば、
3等立地でも、人は並びます。

