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〈施工現場革命〉鹿島建設が開発した「自動墨出しロボット」が業務効率化を推進

大昔から現在まで、ほぼ進化していない伝統的な作業「墨出し」

普段私たちの仕事で、着工して一番にする作業に、現場の〝墨出し〟というものがあります。

〝墨出し〟とは、天井、壁面、床面に何もない状態で、大工さんなどの職人が、柱の中心線や壁の仕上げ面の位置に、図面に忠実に水平位置や中心位置を表示する基準線を書き出す作業のことです。

墨出しは、「墨つぼ」という昔ながらの道具で、墨つぼに墨のついた糸を通してはじいて直線を引きます。

店舗デザイン 設計 施工現場の墨出しイラスト

テクノロジーが進む現代社会において、超が付くほどのアナログ作業で、「墨つぼ」は、大昔から現在までほぼ進化していない伝統的な作業の一つとなっていますが、最近ではレーザーの光に沿って線を引く「レーザー墨出し機」も併用されています。

 

約40年以上前、私がこの内装業界に入るずっと前の話です。

当時は、レーザー墨出し機器がなかった時代。

「水平」の墨ラインをつける作業で、キッチリ出すために、水道につなぐ長さ1mくらいの透明のホースを活用していました。

ホースの中に水を8割くらい入れ、Uの字に曲げると、水の両サイドの高さレベルは同じですから「水平」ということになります。

水の位置に印を付け、墨つぼで点と点を線で結ぶと「水平」の線ができる、という原始的なやり方をやっていました。

私も新入社員の時に1~2回程度経験したかしないかの記憶があります。

その時はホースを2人で片方ずつもって作業していました。

店舗デザイン・施工 ホースを使った墨出し イラスト

その後、レーザー機器が普及してくると、今まで2人で作業していた事が1人で可能になる事も多くなり、作業の効率化が進んでいく時代となりました。

しかし、格段に作業効率は良くなりましたが、墨出しの作業は細かい作業の連続なので「手間」は昔の墨出しと同じ。

レーザー機器もそれから現在までは進化を感じることなく、「それが当たり前」になってしまいます。

当時、先輩達と雑談をしている中で、「自動で墨出しができる機器ができたらいいのに…」などと話していました。

 

 

念願の「自動墨出しロボット」が遂に登場!

あれから30年…

先日、インターネットを見ていた時に、建設業界大手のスーパーゼネコン鹿島建設社が、 自動墨出しロボット「ロボプリン」を開発した、という記事を見つけました。

ロボットプリンターの略かな?とも思いましたが、鹿島のプレスリリースによると、まさしく建築工事に不可欠な墨出作業を、全自動かつ高精度に行うロボットプリンターでした。

図面をインプットさせると、現場で自動で床面に墨出しをしてくれるという画期的なロボットです。

鹿島建設株式会社のプレスリリースはコチラから

 

これは「革命だ!」とのことで、すごく興味を持ちました。

形状的にはお掃除ロボットの〝ルンバ〟に似ています。

店舗デザイン設計 墨出しロボット 鹿島 ロボプリン

ロボットプリンター「ロボプリン」(プレスリリース資料より)

 

「ロボプリン」は、読み込んだ施工図面データを基に、工事に必要な基準墨や仕上げ墨などをコンクリート床にプリントします。

特別な装置やアプリが不要なため導入が容易であり、スタート後は全自動で作業するため、誰でも手軽に高精度の墨出しができます。

鹿島のプレスリリースより引用

 

恐らく現段階(2023年9月)では、価格もかなり高額になると思いますが、普及し始めると安価になってくると思いますので、早くそういう日が来る事を待ちたいと思います。

 

音も静かだと想像しますので、例えば、夜間にロボプリンに墨出しをしてもらって、朝、職人さんが現場に到着したときには、墨出しが完了していて、直ぐに作業に取り掛かれるなど、大幅な現場作業の時短になります。

業界的には本当に「大革命」だと思います。

 

建設業界の2024年問題

話は若干それますが、建設業界が直面している問題のひとつに「2024年問題」があります。

建設業界の2024年問題とは、現在、多くの会社では、働き方改革の一環として、2019年4月(中小企業は2020年4月)から時間外労働時間の上限規制が適用されていますが、建設業界はその時点での急な変革は無理があり、国が5年間の猶予期間が設けられていました。

建設業界では時間外労働の上限規制適用を見据え、原則全ての直轄工事で発注者指定型により「週休二日制」に取り組む方針を明らかにしています。

 

業界全体が「週休二日制」となった場合、そこで、考えられる懸念事項として、施工現場も「週休二日制」になるケースが十分考えられることです。

そうなると、その分工期がこれまでよりも長くなるケースが予測できます。

施主の立場からすると、契約が済めば一日でも早く引渡しを受けたい!と思うのが自然です。

やはり一日でも早く現場が終わって、お引渡しする努力が求められてくると思います。

 

他にも、会社に勤めている職人さんは日給月給の方も多く、週4日休みになると、日給1万5千円~1万8千円程度×4日=6万円~7万2千円も月に減給となります。

生活水準が下がるため、仕事を辞めて転職を考える職人さんも増えると言われています。

そうなると、人手不足が考えられます。

それでは会社側も困るので、何とか職人を引き止めようとすると、日当を上げる話となり、月の手取りは今までと変わらない様に話が進むのでは?と想像できます。

 

それに加え、建築資材の高騰です。

建築費用が今よりも更に上がることが予想されます。

 

それを抑えることに期待できるのが、今回触れている墨出しロボット「ロボプリン」ではないかと思います。

この墨出しロボットを導入できたとしたら、人件費削減と共に、前述した「夜間に墨出し」で時短につながり、コスト削減と作業効率化に一役買うのは間違いないと思います。

全国に普及していくのは、もう少し時間がかかるかと思いますが、期待してその時を待ちたいと思います。

<荒井 マモル>

 

 

 

 

 

 

 

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