イメージしたものを「可視化」する、デザイン的思考プロセス
普段の業務の中で、お問合せのメールや電話で「出店したいんですけど…!」と有難いお話を頂きます。
まずは、弊社にご来社いただき、「どんな思いで開業したいか?」や、「どんなお店にしたいのか?」などをヒアリングをさせていただきます。
そのヒアリングの際に、私の頭の中で「大体こんな感じかな〜」と、相談者の思い描く店舗のイメージを膨らませています。
もし、その段階で、私の頭の中にイメージが湧いてこない場合には、しつこく、まるでお客様の頭の中を覗き込むかのように、様々な角度から質問を投げかけさせていただき、店舗イメージを掴むことにしています。
事例として、今回は新築ビルのテナント物件の案件をベースにお伝えしたいと思います。
テナント物件が決まって現場調査を行い、初めて机の上でプランを考える時には、私の場合、まず「平面レイアウト」から手を付けていく事が多いです。
今回のような新築物件では、通常、建築図が存在しますので、建築図面を入手してから検討していきます。
建築図とは、↓このような図面になります。
今回は、こちらのテナントにピアノ教室が入る予定です。
ピアノ教室は、音が出ますので、隣店舗や上下階への「防音工事」が必須になります。
防音の方法もいくつかパターンがありますが、今回は「ボード二重貼り工法」を採用します。
私の頭の中で「ボード二重貼り工法」をイメージして、イメージされたものを、まずは「可視化」する作業を行います。
↓「イメージの可視化」は、こんな感じです。(動画(タイムラプス)でご覧頂けます)
最初はこのレベルからのスタートです。(仮にもうまいとは言えない図ですが、これで業界の方々には伝わります)
CADで清書するとこんな感じです。
壁厚の確認ができたら、その寸法(今回は104.5㎜が基準)で、忠実に平面レイアウトを作成します。
出来上がった平面プランがこちらです。
各々の箇所をパーツも考えて進めます。
もう一点、レッスンルームに入る「出入口」の硝子扉FIX(フィックス:枠に直接ガラスをはめこみ、開閉できないように固定したガラスのこと。「はめ殺し」とも呼ばれ、採光が主な目的の場合に用いる)のパーツを考えたいと思います。
単体でスケッチを書いてみます。
それが、↓こちらです。
寸法の比率は、感覚で書いています。
こちらも引戸と合わせて清書すると、↓こんな図面になります。
(CAD図の中で上のスケッチはFIXと書いてある箇所に当たります)
平面図や部分的スケッチなどをベースに、立体的に立ち上げ、表装を選んで3DCGパースを作ると、↓こんな雰囲気となります。
いかがでしょうか?
平面図やパーツのみの図と比べて、一目瞭然となったと思います。
平面図と3DCGパースをオーナー様に確認いただいて、変更するところは都度変更し、最終プランとなります。
ここまでの作業を簡単にご説明しましたが、さすがに一夜にしてできる訳はなく、何日も検討に検討を積み重ねながらカタチになります。
しかし、大変な作業だからこそオーナー様にご納得頂けると喜び倍増!
そして、実際の工事に入りますが、事故なく予定通り工事が終わって、晴れてオープンした後に、来客されているのを見ると、店舗デザイン会社冥利に尽きる瞬間です。
このような感じで日々頭をフルに回転させて、良いお店づくりに精進したいと思う今日この頃です。