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荒井 マモル

リード・クリエーションが考える「店舗デザイン論」

デザインとは「問題解決」の手段!

「デザイン」という言葉から連想するイメージ

一般的に「デザイン」という言葉から連想するイメージは、おそらく、

“カッコイイ”

とか

“オシャレに”

とか

“デザイナーってカッコイイ仕事!”

とか。

なにかとプラスのイメージが多いように思います。

 

私たちのような「店舗デザイン・設計・施工」を通して「空間デザイン」に関わる者として「デザイン」に向き合う際、いつもこのようなプラスのイメージに対して裏腹な思いで向き合っている気がしています。

 

では、『デザイン』とは?という問いに、私たちが自問自答すると、一つの答えにたどり着きます。

 

 それは 、

『デザイン』とは、「問題解決の手段」

という答えです。

 

私たちのような空間デザインに関わる会社には、

あらゆる空間(店舗や施設)の、あらゆるお困り事に対して、問題・課題を解決してほしい!

といった相談が多数届きます。

 

 

空間(店舗や施設)の問題・課題をどのようにして解決していくのか!?

まずは「現状、何が、どのような問題があるのか!?」、「これからやりたい事が何なのか!?」を、相談者(施主)に「ヒアリング」する事から始まります。

必ずヒアリングを行い、施主の「目的」や「やりたいこと」を確認、共有してから、具体的な方策をカタチにする「デザイン」の作業が始まります。

 

業種業態によって、各々セオリーのような「条件」(例えば、お客様の導線や設備レイアウト、業務オペレーション等)がありますので、その条件を考慮しつつ問題・課題に向き合います。

 

その空間(店舗や施設)に来られるお客様が好む空間とはどういったものが良いかなど、総合的に考えて一つ一つのデザインの方向性を決め、最終的な仕上げ方を検討して問題・課題の解決を図ります。

 

「ヒアリング」の作業がないデザインは、単なるデザイナーのエゴと言ってもいいかもしれません。

 

 

「デザイン」という言葉を分解すると…

「デザイン」という言葉は、2つの言葉から成り立っています。
(※諸説ありますが、一般的にはデザインの語源はデッサン(dessin)と同じく、“計画を記号に表す”という意味のラテン語designareです)

 

デザイン

デ・サイン

 

「デ」= 壊す

「サイン」 =  見えるもの

直訳すると、『見えるものを壊す』となります。

 

「???」の方も多いと思いますが、ここで私がお伝えしたいのは、

デザインとは  “引き算”   

と言うことです。

 

世間一般的に「デザイン」と言われるものは、様々な「装飾品」や「色」を付け足していくイメージを持たれがちですが、そのように「足し算」的に「追加」をおこない過ぎると、いろいろなモノが混合することで複雑化し、バランスが難しくなり、纏まらなくなっていくことが多々あります。

 

そうなると、人の目の印象として空間がゴチャゴチャに見えてきます。

そして、うるさく感じてしまいます。

 

安価な商品を販売するお店で、コンセプト的にカラフルに見せる事で「賑わい」を演出する技法として、敢えて意図的に「(ある意味)ゴチャゴチャ」なデザインをするお店ももちろんあります。

 

しかし、一般的なお店では、色使いなどは無数にある色の中から「中心的なメインカラー」を決めて、その色が映える様に、全部で3色以内で色決定などをしていきます。

そうする事で空間に「まとまり」が生まれてくるからです。

空間に「まとまり」が出来ると、訪れるお客様に、違和感なく、そして居心地良く感じていただけるので、お店としてのメリットが多くなります。

 

余談になりますが、お店や施設の空間以外にも、取り扱う商品も同様に、色んな商品が無数にあるとお客様は選ぶ事を放棄する傾向に有りますので、 〇〇専門店と言えるくらいに、商品を「引き算」して、アイテムを厳選すると店舗としての統一感がでて、お客様が選びやすい空間を演出することができます。

 

 

デザインについて〜「線」を使い分ける

さまざまな個体には輪郭を形成する線があります。

その線は “直線” と“曲線” の組合せで成り立っていますね。

 

直線のみでできている物体は、カクカクして、人に与える印象としては「シャープ」「クール」「高級感」「機械的」「男性的」「硬い」とかになっていきます。

対して曲線の究極は「ボール状」のものですが、印象としては「ソフト」「優しい」「親近感」「安心感」「女性的」といった印象になります。

 

モノづくりのデザイナーは、直線と曲線の組合せの形状を考慮して、最終的に世に出す時の形状を何度も検証して生み出していることは、ご理解頂けるのではないかと思います。

 

それは、私たち空間デザインも同じで、

「この壁面は直線的な壁にして、この部分はアールの壁にした方がお客様に与える印象がいい」とか、

「90度の出っ張りになると怪我をする恐れがあるから角を丸くしておこう」などと考えたりします。

(因みにですが、私はどちらかと言うと直線を多用するデザインが好きです)

 

 

デザインについて〜色分け

デザインで切っても切り離せないのが「色」ですね。

一つの空間の中で部屋が細分化されている場合、各部屋への誘導が複雑な時には、「色分け」の力を使ってお客様をスムーズに誘導するという技法が使われます。

 

例えば、フロアごとに色分け表示をしている駐車場を利用されたことのある方も多いと思います。

立体駐車場は、無機質でどの階層も同じように見えますから、よくよく注意して階数を覚えておかないと、自分がどの階に駐車したのか分からなくなることがあります。

ぐるぐる上階に登っていって、車を駐めた階が赤色だったとしたら、その色を覚えておいて、数字て「◯階」と覚えるよりも「赤色のフロア」と覚えることで思い出しやすくなります。

これは「色」を利用して、視覚的に脳裏に焼き付けさせるデザインを採用していることとなります。

視覚的に誘導するという手法は、一般の方にわかり易く、かつスムーズに伝え、覚えてもらえる ユニバーサルデザインです。

 

 

空間デザインの捉え方〜鳥の目・虫の目・魚の目

“鳥の目” “虫の目” “魚の目”と言う捉え方があります。

「鳥の目」は、高所から広い視野で「俯瞰的に」物事全体を見つめていくことです。

「虫の目」は、足元を見つめ直すという意味で、虫の目のように「低い位置」から見てみると、上からは見えなかったことも見えてきます。

「魚の目」とは、魚は目に見えない潮の流れや川の流れを体で感じ取っていて、目で見るだけでなく時代の流れや世の中の潮流を見極める目という意味です。

空間デザインはまさにこれを多用します。

 

デザインは、まず、『全体的』に考えて、

次に『中景的(部分的)』を見て、

更に『ディティール(細部)』

を追求していきます。

 

そして、その逆の手順で、

『ディティール(細部)』や、『中景的(部分的)』に問題ないか!?

『全体的』にまとまっているか!?

を、検証していく作業を何度も行って最終的なデザインをご提案します。

 

別の表現に例えると、

「どんな空間にしたいか?」という全体を創造して、創造した全体を分解する作業を行い、分解したものを整理して、組み立てていく作業(これが設計図です)。

その設計図を元に現場で1分の1のプラモデルを組み立てていく様な感覚です。

 

 

他にも様々デザイン理論はありますが、表面的には上記で挙げた様な事が言えます。

 

私たちリード・クリエーションでは、以上のような事を考えて日々「店舗デザイン」に向き合い、スタッフ全員で取り組んでおります。

 

 

 

 

 

 

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